はじめに
本エントリーでは、ポンプの種類についてまとめていこうと思います。
ポンプとは、油圧回路の中で圧力を与える部分の回路です。以下図で言う赤枠の部分です。
今回は、ポンプに焦点を当てていきたいと思います。
ポンプの種類
ポンプは、大きく3種類あります。ギアポンプ、ベーンポンプ、アキシャルピストンポンプの3種類です。
これらは、それぞれ加圧できる圧力の範囲が変わり、ギアポンプ⇒ベーンポンプ⇒アキシャルピストンポンプの順番で、大きな圧力を加圧できるようになります。
ギアポンプ
最も低圧の圧力を送る時に使用されるポンプです。使用圧力は、大体3MPa程度までです。
固定容量式と言われるポンプが一般的に使用されています。固定容量式ポンプでは、一定流量の作動油を送ることしか基本的には出来ません。
またギアポンプには、外接型ギアポンプと内接型ギアポンプがあります。内接型ギアポンプは、外接型ギアポンプに比べて若干構造は複雑ですが、低騒音という特徴があります。
外接型は、シンプルな構造なため安価で、頑丈という特徴があります。外接型ギアポンプのイメージ図を以下に示します。
図に示す通りギアの歯車のかみ合い部分で油が昇圧されていく構造になっています。
ギアポンプを使う際は、比較的低圧で、複雑な動作を期待しないシステムに使用する場面が多いです。
ベーンポンプ
中程度の圧力を送る時に使用されるポンプです。使用圧力は、大体12MPa程度までです。
固定容量式と可変容量式ポンプがあります。一定流量のみを送る場合と、状況に応じた流量を送る場合と2種類のポンプを使用することが出来ます。
ベーンポンプは、平行型と非平衡型があり、固定容量式か可変容量式かは、以下のような対応関係になっています。
- 平衡型ベーンポンプ:固定容量式ポンプ
- 非平衡型ベーンポンプ:可変容量式ポンプ
平衡型ベーンポンプのイメージ図を以下に示します。
ベーンで容量が仕切られており、ロータの回転に応じて仕切られた空間は徐々に増減を繰り返していきます。吸入する際は、ベーンで仕切られた空間の容量は大きくなり、掃き出しにかけて容量は圧縮され、昇圧されていきます。
非平衡型ベーンポンプは、圧力状況に応じて、ベーンの縮み具合を制御して、ベーン間の容量を変化させる方式です。
ベーンポンプは、一般に構造が複雑で繊細です。よって、メインシステムではなく、サブシステムに使う圧力源として使用される場面が多い印象です。
アキシャルピストンポンプ
最も高い圧力を送る時に使用されるポンプです。使用圧力は、大体30MPa程度までです。
アキシャルピストンポンプには、斜板型ポンプと斜軸型ポンプの2種類があり、対応関係は以下の通りです。
- 斜板型アキシャルピストンポンプ:固定容量式/可変容量式ポンプ
- 斜軸型アキシャルピストンポンプ:固定容量式/可変容量式ポンプ
上記の通り2種類とも固定容量式/可変容量式ポンプの2種類のポンプがあります。
斜軸型ポンプの方が斜板型ポンプよりも構造が複雑であるという特徴があります。
斜板型ポンプは、斜軸型に加えて、可動部分が斜板のみになるため、搭載に必要なスペースがコンパクトに済むメリットがあります
どちらも斜板と言われる部品を動かし、流す作動油の容量を変えたり、送り出すという思想は変わりません。
斜板型アキシャルピストンポンプのイメージ図を以下に示します。
上図の様に斜板を傾けて、ピストンに作動油を送り込みます。中のピストンが回転していき、図上側の圧縮工程に入ることで作動油が昇圧されて送り出される構造です。
アキシャルピストンポンプは、主に複雑な制御が必要でかつ、大きな動力が必要なシステムの動力源として採用される場面が多い印象です。
まとめ
私の意見も強く反映されていますが、主に油圧回路のポンプについて解説しました。
これ以外にも膜ポンプ、ロータリポンプなどをはじめ、多くの種類のポンプがありますが、油圧機械で目にするのは上記3種類のポンプが多いです。
構造と原理が、やや煩雑なので整理して読んでいただけたら幸いです。
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